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おもてなし研究講座「兼六園めぐりガイドツアー」レポート

2024年3月16日(土)に「兼六園の魅力再発見!ガイドさん直伝の春のおもてなしツアー」を開催しました。

石川県にやってきた友人や知人を観光案内するときの定番スポットといえば、石川県が誇る文化財指定庭園・特別名勝「兼六園」。

そんな案内時に役立つ、石川県民にもなかなか知られていないとっておきの春の花を楽しめるコースをはじめ、 知っているようで知らない“春の兼六園の楽しみ方”を、兼六園観光協会の兼六園めぐりガイド・勝見さんにご案内いただきました。

兼六園の北に位置する金沢城石川門のすぐそばにある「桂坂口」からガイドツアーがスタート。



桂坂口から坂道を上ってくると、見えてくるのは有名な「徽軫灯籠(ことじとうろう)」。

兼六園のシンボルとしてよく知られ、観光写真でもよく目にする2本脚の灯籠です。
その形が楽器の琴の糸を支えて音を調整する琴柱(ことじ)に似ているため、その名がついたと言われています。

手前の「虹橋」が琴の胴を、そしてさらに手前の「瀬落とし」と呼ぶ小さな堰(せき)が琴の絃を表していて、3つがセットとなって琴を表しているんだとか。



そもそも兼六園はなぜこんなに園内に小川(曲水)が多く、水が豊富なのか?

江戸時代に大火事があり、金沢城の防火用水としてつくった「辰巳用水」を兼六園内の曲水として活用し、さらにその水を標高差と水圧だけで運ぶ「逆サイホンの原理」で、隣の金沢城(二の丸)へ水を揚げていたそうです。



そして、金沢の街並や医王山、日本海や能登半島までを見晴らすことができる眺望台へ。

ここでは兼六園の名前の由来を教えていただきました。
庭園に必要な6つの景勝「宏大」「幽邃」「人力」「蒼古」「水泉」「眺望」を兼ね備えているという意味とのことで、石川県民の参加者の方々から「へぇ〜、そうだんだ!知らなかった」との声も。

この場所では、曲水の豊かな流れ「水泉」と山々の「眺望」を同時に眺めることができ、兼六園の6つの景勝の中でも、両立がむずかしい2つが見事に共存しているスポットです。



時期的にまだ名残のある冬の風物詩「雪吊り」。
そんな雪吊のシンボル的な存在の唐崎松(からさきのまつ)の説明をしていただきました。

ちなみに兼六園で雪吊りに使用された藁縄は、外された後は細かく裁断されて、堆肥として再利用されているんだとか!

思わず「へぇ〜!」を連発してしまう、知ってるようで知らなかった話にメモが止まらない参加者のみなさん。






こちらは「明治紀念之標」。中央に日本武尊像を、左に石川県戦士尽忠碑を据えています。
なんとこの銅像は日本で最初に建てられた銅像といわれているんだとか。

ちなみにこの銅像の台座は自然石を積み上げたもの。
石積の部分には「ナメクジ、蛇、ヒキガエル」の形の岩があり、三すくみが表現されているそうです。

両脇に植えられた赤松は「手向松(たむけまつ)」と呼ばれ、京都の東西両本願寺の門跡から移されたもの。

知らないことがたくさんでした!






根上松を眺めつつ、花見橋をわたって、冒頭に説明していただいた辰巳用水を兼六園内に汲み入れている起点「沈砂池(ちんさち)」へ。ここで泥砂を沈めて浄化した後、山崎山の洞窟から流れ出て、兼六園内の曲水となっています。

夏になるとホタルが舞うこともあるんだとか!



ふだんはなかなか通らない「龍石」や「鶺鴒島(せきれいじま)」についても教えていただきました。





みなさん、ちょうど見頃な梅林に大興奮!

こちらの梅林は、昭和43年に北野天満宮や太宰府天満宮、湯島天神、水戸偕楽園などの協力により、全国の名梅を集めて造成されていて、約20種・200本の梅が埋められているそうです。




兼六園のほぼ中心部に位置する、園内で最も大きな池「霞ヶ池(かすみがいけ)」。

その池を掘り広げた時の土で作られた「榮螺山(さざえやま)」。
今でいうところの3Rのリデュースの発想で作られたエコな築山なんだとか。

山頂からは霞ヶ池を一望できるそうです。
現在は能登半島地震による影響で立入禁止ですが、いつか登ってみたい!と、みなさん興味津々でした。



榮螺山から噴水へ向かう途中の曲水にかかる「黄門橋(こうもんばし)」。
青戸室石でできた一枚石で、大きさは園内一!


石川県民なら一度は見たことのある、日本最古の「噴水」。
霞ヶ池を水源として、今もなお自然の水圧であがっています。


兼六園には専属の庭師がいて、年間をとおして樹木の管理をしていることも教えていただきました。


ゴールは瓢箪(ひょうたん)の形をした「瓢池(ひさごいけ)」。

霞ヶ池とは違った静かな趣があり、翠滝(みどりたき)から流れ落ちる水音が静かに響き渡ります。桜の時季には瓢池に桜が映り、とても幻想的な美しさなんだそうです。

兼六園めぐりガイドの勝見さんのお話が楽しく、あっという間にツアーは終了。

唐崎松や根上松などを筆頭とする8000本超えの木々、歴史的な建造物の数々、そしてなんといっても霞ヶ池や曲水といった「水」の恵みなどなど、兼六園がたくさんの魅力で溢れた庭園だということをあらためて再発見できたツアーガイドでした。

そしてなんと一般開放されてから今年で150周年(!)ということで、今後はもっと兼六園に遊びに来ようと思いました。

今回学んだ兼六園のさまざまな歴史や知識を、石川県にやってきた友人や知人を観光案内するときなど、おもてなしするときにぜひ活用してもらえたら嬉しいです。

また、今回のように貸切での兼六園ガイドツアーをご利用できますので、気になる方はぜひ兼六園観光協会さんにお問い合わせください(個人向けのガイドツアーは当面中止となっています)。

兼六園観光協会さん、参加者のみなさま、どうもありがとうございました!